愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 毎日アルケミラ・モリスの無事を確認して「今日も来なかった」と一喜一憂するのは、そろそろマンネリである。
 さてどうしたものかと頭を悩ませながら、ペリウィンクルは間もなく帰宅するローズマリーのために、お茶を準備に取り掛かった。

 乳鉢でローズヒップをつぶして、種と毛を取り除く。
 鍋に水を入れて火をかけて、沸騰させたら火を止める。
 あとは、細かくしたカモミールとローズヒップをそこへ入れて五分ほど抽出し、茶こしを使ってカップへ注げば完成だ。

 カモミールとローズヒップのお茶は、ストレスによる肌荒れに効果がある。
 カモミールの消炎作用と鎮静作用は肌のトラブルに有効で、ローズヒップは肌のケアに消費されるビタミンCが豊富なのだ。

 吹き出物対策には、ダンディライオンのお茶も良い。
 根を焙煎して淹れた茶は、コーヒーのような味でなかなか美味しい。

 茶葉とお湯の用意を済ませてペリウィンクルが壁の時計を見上げていると、扉が控えめにノックされた。
 ローズマリーであれば、ノックもなしに入ってくるはずである。
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