愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「誰だろう?」

 ペリウィンクルは首を傾げて、扉へ向かう。
 セリかサントリナだったらローズマリーがいなくても部屋へ通して良いと言われているが、それ以外だったらお断りである。
 扉の影になるように置かれた鏡で、メイドらしい微笑を浮かべていることを確認してから、ペリウィンクルは扉を開いた。

 ゆっくりと開いた扉の向こう、廊下に立っている青年を見て、ペリウィンクルから表情が抜け落ちる。

(やっぱり、お嬢様には引き寄せの法則とか、そういうのがあるのでは?)

 それとも、これが予定調和というものなのだろうか。

(ご都合主義?)

 ペリウィンクルが無表情でそんなことを考えていると、来訪者は手を差し出してきた。
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