愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「ん」

 ペリウィンクルのものよりも大きな手のひらの上に、信じられないくらい大きな宝石がでんとのっている。

(な、何……?)

 ペリウィンクルは、ローズマリーの小さな手にも収まるようなサイズの宝石しか知らなかったから、目の前のそれが本当に宝石なのかどうかも怪しいと思った。
 そして、差し出されている理由も思い当たらない。

 引き攣った笑みを浮かべてペリウィンクルが来訪者を見ると、彼はまた「ん」と言って宝石をさらに前へ突き出してきた。
 ペリウィンクルの視界いっぱいに、宝石が映る。

「……は?」

「賄賂だ。前払い」

「……」
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