愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(それで、トゥルシー様は行動に移せなかったわけね)

 トゥルシーは来なかったわけではない。
 ディルに妨害されていたから、盗めなかっただけだった。

(二カ月も動きがなかったから、諦めたのかと思っていたけれど……そういうわけではなかったのか)

 ヒロインエンドでは脇目をふらずにヒロインの箱庭を滅茶苦茶にしていたトゥルシーが、ローズマリーの箱庭からアルケミラ・モリスの一輪も盗めない理由はなんだろうと思っていた。

(まさか、ディル様が妨害していたとは。でも、ここからどう挽回しろっていうの?)

 ゲームのシナリオは随分と改変されている。
 どうせ結ばれる運命なら、今回は放っておいても良いのでは? とペリウィンクルは切実に思った。
 だが、ローズマリーはそうは問屋が卸さないと言うに決まっている。
 案の定、ローズマリーは恋愛小説を読み終わった後の達成感に満ちたうっとりとした顔で微笑んでいた。
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