愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(見た目はミステリアス美青年なんだけど、中身がオタクっぽいのもまたオツ……)

 そして何より、声が良き! とペリウィンクルはこっそり見えないところでガッツポーズした。

「それで……ディル様はどうして、わたくしの専属庭師へ賄賂を贈ろうと思ったのでしょうか? あいにく、この子は宝石の価値観などわかりません。それがどれだけ高価なものなのか、見当もつかないのです」

「贈り物の選択を誤ったな」

 ディルは興味を失ったように、持っていた宝石をぞんざいに投げた。
 大きな宝石が、ゴロリとソファの上を転がる。
 ローズマリーはそれをチラリと見遣ってから、「そうですわね」とおかしそうに笑った。

「花を贈るべきだった」

「それはいかがなものかと」

「なぜだ」

「花は愛する人へ贈るものですもの」

「そうか、ならば仕方ない」
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