愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ヴィアベルは不審そうだ。
 それでも手伝うつもりはあるらしく、カップがフヨフヨと宙を舞う。

「そうだよ。マルベリー茶はダイエットに効果があるでしょう? お嬢様のダイエットの一助になればと思って」

「ふむ、そういうことか。ならば少しばかり、私も助けてやろう」

 ヴィアベルはニヤリと笑むと、ピンと伸ばした人差し指でクルリと円を描いた。
 すると、描いた円からホタルの光のようなものが出てくる。
 小さな光はゆらゆら揺れながら、小鍋の中へポチャンと入ってしまった。

「ヴィアベル?」

「悪いことはしていない。ちょっと、効果を高めただけだ」

 言いながら、ヴィアベルは罰が悪そうに視線を逸らした。
 妖精のくせに、妙に人間臭い。
 こんなの、疑えと言っているようなものだ。
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