愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 結局、その時はペリウィンクルが我慢しきれずに泣き出してしまい、起きてきた契約者に不審者だと勘違いされて飛びかかられた。

 そのあとは、坂を転がるように真っ逆さま。
 これまでの塩対応はなんだったのかと思うほどに、ヴィアベルは過保護な妖精と化した。
 ペリウィンクルは、そんな彼に甘やかされることに最初は戸惑っていたが、次第に受け入れるようになり、少しずつ今の彼女へ近づいていった。

 今のペリウィンクルがどこにでもいるようなただの女の子に見えるのは、ヴィアベルの過剰な献身のおかげである。
 そうでなければ、両親の事故死から引き起こされた一連の不幸と、引き取ってくれた祖父の死を、彼女が乗り越えることはなかっただろう。

(どうしたものか)

 最近は、少しばかり自立心旺盛なことがヴィアベルは気になっていた。
 しかし、彼女はすでにヴィアベルのテリトリーの中だ。
 つい先日など「殺す気か」と恥を忍んで騒ぎ立てたところ、あっさり譲歩してくれたので、付け入る隙はがっつりあるだろう。
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