愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(ま、まさか幽霊⁉︎)

 たまらず悲鳴をあげそうになるペリウィンクルの口を、大きな手のひらが覆う。
 突然背後を取られたペリウィンクルは、パニックを起こしそうになった。

(助けて、神様! いや、この国に神様はいないから、妖精王に助けを求めるべき⁈ ああでも、それはそれで不敬なような気もしちゃう!)

 前には幽霊、後ろには不審者。混乱しない方がおかしい。
 ペリウィンクルが必死になって体をバタつかせていると、背後の人物が顔を近づける気配がした。

(ぎゃぁぁぁぁ!)

「落ち着け。私だ」

 耳の後ろにキスをされそうな距離から声をかけられて、ペリウィンクルの体が震え上がる。
 恥ずかしさのあまり心の中で「破廉恥!」「スケベ!」「痴女!」と自身を罵倒しながら、ペリウィンクルは唇を覆う手をペチペチ叩いた。
< 216 / 322 >

この作品をシェア

pagetop