愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!

第33話 ヒロインと媚薬

 足音が聞こえなくなってしばらくして、ヴィアベルは立ち上がった。
 それからペリウィンクルの脇に手を差し入れて、幼子にするように起こしてやる。
 
「ヴィアベル」

 呼びかけに、ヴィアベルはすぐに答えない。

「媚薬を作っていたの、リコリス様よね?」

「ああ。実に尻軽女らしい行動だ。おおかた、あの媚薬で男を落としていたのだろう」

「やっぱり?」

「そうでなければ、説明がつかん。あんな軽々しい女、普通の男なら願い下げだろう」

(普通の男って……いや、あんた妖精じゃん)

 ペリウィンクルは突っ込みたくなったが、言葉を呑み込んだ。
 言ったところで「一般論だ」とかなんとか言われるに違いない。
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