愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ヴィアベルがペリウィンクルのハーブティーの力を高めたように、ひだまりの妖精が媚薬の効果を高めたとしたら。
 おまじないにも似た効果の薄い媚薬も、本物になってしまう。

 ひだまりの妖精の力は強い。
 果たしてヴィアベルに、ひだまりの妖精の力を無効化するほどの力があるのかどうか。

「ヴィアベル……」

 すがるような視線を受けて、ヴィアベルが「うっ」と声を漏らす。
 それからつとめていつも通りのしれっとした表情を貼り付けて、ペリウィンクルの頬を撫でた。

「安心しろ。私とひだまりの妖精の力は五分五分、さらに三日月の夜は私の力が強くなるから、勝算はある」

「五分五分……って、五分五分⁉︎ ヴィアベルってば、ひだまりの妖精と同じくらいなわけ⁉︎ 聞いてないんですけど!」

 ゲーム上では明かされていないが、設定資料集によれば、ひだまりの妖精は一国を滅することができるくらいの力を秘めているらしい、と書いてあったことを思い出す。
 五分五分ということは、ヴィアベルにも同じだけの力があるっていうことで──とそこまで考えて、ペリウィンクルは改めてヴィアベルのすごさを感じた。
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