愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ペリウィンクルの心を乱すもの。
 それは、ヴィアベルである。

 彼自身が何かをしているわけではない。
 それでも、ペリウィンクルからしてみれば彼が原因であることは間違いなく、かといってそれを彼に言ったところで解決しないこともわかっているので、悶々とすることしかできなかった。

(ああ、なんてこと……)

 何度も何度も繰り返してペリウィンクルが思うのは、あの時『綱渡りのよう』と思ったのは正解だったということだ。

 あの時、二人の間に流れていた空気は、もう長らく体感していなかったものだった。
 一度バランスを崩せばもう元には戻れない、友情と恋情をわける境目。

 ペリウィンクルがヴィアベルに八つ当たりしたくなったのは、彼がバランスを崩そうとしていると思ったからだ。
 友情から恋情へ持っていこうと、しているように感じた。
< 233 / 322 >

この作品をシェア

pagetop