愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 結局、妖精王の茶会にふさわしい茶をブレンドし終えたのは、茶会当日の夕方のことだった。
 悩みに悩んで作り上げたのは、ミントとローズマリー、それにコーンフラワーを加えたお茶である。
 ガラス製のポットでお茶を淹れると、コーンフラワーの鮮やかな青の花びらが彩りを添えてくれる。
 もう一つの候補だったレモングラスは、数種類のハーブと混ぜてマフィンを焼いた。

 あれだけ次に会ったらどうしようと悩んでいたペリウィンクルだったが、意外にも会ってみたら普通に接することができた。
 おかげで、自身が二度目の恋をしたわけではなく、心の奥底で初恋をずっと大切にしまっていただけなのだということがわかった。

 しかし、実らないと言われている初恋をこの歳になってまで大事にしていることは、妙に気恥ずかしいものだ。
 赤く染まる頰を夕日が隠してくれたことに、ペリウィンクルは安堵した。

 セリとシナモンを招待した時と同じように、ガゼボの上に三日月がのぼる。
 薄暗いガゼボの中に点々と置かれたキャンドルへ火を灯しながら、ペリウィンクルは招待客を待った。
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