愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです！

　最初にやって来たのは、ディルだった。

「ご招待に深謝いたします」

　彼はペリウィンクルの肩にとまっていた妖精姿のヴィアベルを見つけると、帽子を取って紳士らしく礼をする。
　そんなディルに、ヴィアベルも礼儀正しく頭を下げた。

　それぞれ挨拶をし終えたところで、ペリウィンクルはガゼボへ案内する。
　キャンドルに照らされた幻想的な景色に、思わずディルは「ほぅ」と感心したように声を漏らした。

「トゥルシー様は、いらっしゃるでしょうか……」

　ガゼボの外を見ながらペリウィンクルが不安そうに言うと、ディルが不敵にニヤリと笑む。

「来るさ」

　今回、トゥルシーを連れてくるのはシナモンの役目になっている。
　花泥棒についての事情聴取をするという名目で、連れてくる手筈になっているのだ。