愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「できることなら、そばにいてくれ。そばにいてくれないと、ヒヤヒヤして何も手につかん」

 とは、ヴィアベルの言葉である。
 気まぐれにしては、真剣味を帯びた声だ。
 だからペリウィンクルも無碍にはできなくて、いつも困ったように笑って言う。

「何度も言うけれど、私はもう大人の年齢なのよ。赤ちゃんじゃないの。あなたが見ていなくたって、ちゃんと生きていけるわ」

 最後に、ペリウィンクルが照れた顔でそっぽを向きながら「会えるのは嬉しいけれど」と言うと、ヴィアベルはいつも整った顔を緩めて嬉しそうにしていた。その顔は、ペリウィンクルを見る祖父と似ているようで少し違う、見ているとむず痒くなるようなものだったけれど。

 ヴィアベルは、ことあるごとにペリウィンクルを中央の国へ誘う。
 八百屋のおじさんがペリウィンクルだけおまけしてくれなかったとか、ペリウィンクルにお茶休憩もさせないとか、本当にささいな、どうでも良いようなことで。
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