愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 二件目。
 これは、ペリウィンクルが大いに関係している。
 意地悪がなかなかうまくいかないというローズマリーを助けるため、ペリウィンクルは一計を案じたのだ。

 その名も、ミントテロ。
 音の響きはかわいいが、なかなかにえげつない方法である。

 ミントは恐ろしい繁殖力でひたすら増殖する。抜いても抜いても勢いで繁殖し、果てには匂いまでなくなり雑草と化すのだ。
 その威力は、庭師でさえ制御不能。庭に植えてはいけない植物ランキングがあったら、間違いなく上位入賞である。

 ペリウィンクルはローズマリーに一株のミントを渡し、わざわざみんなの前でヒロインの箱庭に植えてやるという意地悪を行った。
 その結果ときたら。
 もともとろくに手入れされていなかったヒロインの箱庭には虫が大量に発生していたらしく、ミントのおかげでそれが鎮まってしまったのだ。

 一面の緑に覆われた箱庭を見て、ヒロインは涙目で「ローズマリー様のせいでわたしの箱庭が……」とソレルに泣きついたらしい。
 ソレルは「どうしてそんな意地悪をするのか」とローズマリーに注意したらしいが、残念王子は騙せても周囲までは騙せない。
 現在、ソレルの周囲は『リコリスを支援して馬鹿王子を傀儡に』派と『ローズマリーを支援して馬鹿王子の代わりに執政してもらう』派に分かれているのだとか。
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