愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「あなたが書いたのでしょう?」

「違います!」

 ローズマリーの問いを、ペリウィンクルは即座に否定した。
 けれど、彼女は納得しない。

 それもそのはず。カードの筆跡は、ペリウィンクルのものと同じにしか見えなかったのだ。
 ペリウィンクルの筆跡は、どこにだってあるからすぐに確認できただろう。
 ハーブの瓶とか、箱庭に置いている栄養剤とか、彼女はさまざまなものにラベルを貼り付けているから。

「本当に、私じゃ、ありません」

 ペリウィンクルは真剣に訴えたが、ローズマリーは顔を背けた。
 そんな仕草もかわいいが、今は悶えている場合ではない。
 ペリウィンクルは「本当に違うんです」と言い募った。

「そんなの、口では何とでも言えるわ」
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