愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「ペリ!」

 ペリウィンクルの言葉を無理やりさえぎるように、ローズマリーが叫んだ。
 ビクリと肩を震わせて、ペリウィンクルが押し黙る。

「申し訳ないのだけれど、今は放っておいてちょうだい」

「でも! 本当に、私じゃな──」

「お願いだから! 今だけは放っておいて!」

 ローズマリーの願いに呼応して、妖精が魔法を使う。
 ぶわりと風がペリウィンクルを包み、気づけば閉ざされたドアの前に立たされていた。

「本当に、私じゃないんですよ。ローズマリーお嬢様……」

 ペリウィンクルの言葉は、ドアに阻まれて届かない。
 何度ノックをしても返事はなく、ペリウィンクルは途方に暮れた。
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