愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(そうして試して安心して、絶対に大丈夫だとわかるまで告白しないって? 馬鹿みたい。その結果がこれよ。私は、踏み込んではいけないところまで踏み込んだ)

 ヴィアベルのぎこちない笑みが、何よりの証拠だ。
 その上、ペリウィンクルは嫌われることを恐れ、謝ることもできない。

 嫌悪感に頭が真っ白になる。
 謝らなきゃ。そう思えば思うほど、かたくなに謝れなくなっていく。

 そんなペリウィンクルなのに、ヴィアベルはどこまでも優しい。
 傷ついているのに責めることもしない。

 ペリウィンクルはひどいと思った。
 この期に及んで、まだヴィアベルに甘えている自分が情けない。

 ヴィアベルは全てわかっていると言わんばかりに、許しを与える時に見せる苦笑いを浮かべた。
 それから、意固地になっているペリウィンクルの前髪を持ち上げて、現れた額へやわらかく唇を押し当てる。
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