愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
スヴェートは、卒業試験が始まるよりずっと前から、誕生花の種を育てていた。
それは、契約したリコリスが、
「誰よりも早く卒業試験を突破して、一流の妖精使いとして認めてもらいたいの。そうしたら、わたしが誰と結ばれたって文句は言えないでしょ? そう、例えばそれが、身分が違う人だったとしてもね」
と願ったせいである。
しかし、誕生花は妖精の力だけでは育たない。
人と妖精、双方が世話をすることではじめて成長する植物なのだ。
スヴェートが何度頼んでもリコリスは世話を一切せず、しかも種からは苦しげな声が聞こえるばかり。
思い悩んでいた時、たまたまペリウィンクルがリコリスの箱庭で栄養剤を使っているところを見て、これだ! と思ったらしい。
誕生花に栄養剤を与えてはいけない。
禁忌だとわかっていたが、なによりも種自身が「あれがほしい」と言ったので、与えてしまったのだという。
ひとり立ちしたばかりの若い妖精であるスヴェートは、妖精たちに伝わる禁忌の話を本気にしていなかった。
今回の件は、スヴェートが禁忌を軽んじていたために起きたことだったのである。
それは、契約したリコリスが、
「誰よりも早く卒業試験を突破して、一流の妖精使いとして認めてもらいたいの。そうしたら、わたしが誰と結ばれたって文句は言えないでしょ? そう、例えばそれが、身分が違う人だったとしてもね」
と願ったせいである。
しかし、誕生花は妖精の力だけでは育たない。
人と妖精、双方が世話をすることではじめて成長する植物なのだ。
スヴェートが何度頼んでもリコリスは世話を一切せず、しかも種からは苦しげな声が聞こえるばかり。
思い悩んでいた時、たまたまペリウィンクルがリコリスの箱庭で栄養剤を使っているところを見て、これだ! と思ったらしい。
誕生花に栄養剤を与えてはいけない。
禁忌だとわかっていたが、なによりも種自身が「あれがほしい」と言ったので、与えてしまったのだという。
ひとり立ちしたばかりの若い妖精であるスヴェートは、妖精たちに伝わる禁忌の話を本気にしていなかった。
今回の件は、スヴェートが禁忌を軽んじていたために起きたことだったのである。