愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 指の隙間からチラチラ見てくるのをやめてほしい。
 そんな場合ではないのに、かわいいと言って抱きしめたくなってしまうから。

(もしかしなくても、今の言葉を聞かれてた? ……んだろうなぁ)

 手のひらで隠しきれなかった肌が、上気しているのが見える。
 我ながら情熱的な告白をしてしまったものだ。
 恥ずかしくて、消えてしまいたい。

「消えるならせめて、名もなき生き物のエサになりましょうかね〜」

 冗談でも言ってはいけないようなことを呟くと、ヴィアベルがギョッとした顔をした。
 大きな手のひらが彼の顔から剥がれる。
 ようやく見えた彼の顔は相変わらず綺麗に整っていて、ペリウィンクルは「ああ、好きだなぁ」と声にならない小さな呟きを漏らした。
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