愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ヴィアベルは、絶対に離さないと言わんばかりに、ペリウィンクルを強く抱きすくめた。
 押し当てられた胸からは、壊れた時計塔みたいにゴンゴンと早鐘を打つ音が聞こえる。

「そんなこと、私が許すわけがない。少し頭を冷やすつもりで目を離したというのに、こんなことになっているとは……予想外すぎるぞ。やはりおまえは、そばにいてくれないとなにをしでかすかわからん。そんなに私が好きだというのなら、もうずっとそばにいろ」

 ペリウィンクルの返事を聞かずに、ヴィアベルは「反論は許さん」と重ねて言ってきた。

(そんなこと、言わないのに)

 今日のヴィアベルはまるで子どもみたいだ。
 大人みたいに包み込んで安らぎを与えてくるのに、離れたら嫌だと子どものように駄々をこねる。

 ペリウィンクルは駄々っ子を宥める母親のような気持ちになって、ヴィアベルの背に回した手でゆっくりと撫でた。
 広い背中だ。記憶にあるより少し、狭くなったみたいだけれど。
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