愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!

第5話 春の国の王子様

「お久しぶりですわ、ソレル殿下」

 そう言って優雅にお辞儀をするのは、デュパンセ公爵家の娘、ローズマリーだ。
 つい半年前までは出荷直前のブタのように丸々としていたはずだが、すっかり様変わりしている。

 薄紫色の髪は艶やかに波打ち、華奢な肩を覆う。
 やや柔らかさが残る小さな顔には、ペリドットのような淡い黄緑色をした大きな目と、控えめな鼻と口がついていた。
 首も腕もほっそりとしており、まるで精巧な人形のようである。

 庇護欲がそそられる、守ってあげたくなるような少女。
 それが、今のローズマリーだ。

「あ、ああ……」

 信じられないものを見た時のように、ソレルは瞬きを繰り返した。
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