愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「何を言っている!」

「だって、ヴィアベル……あの子、かわいそうだよ。助けてあげよう?」

 ヴィアベルは怖い顔をしてペリウィンクルを睨んだが、長くは続かなかった。
 つくづく甘いとこぼしながら、それでも彼女の手を離す。

「どうするつもりなのだ」

「ローズマリーお嬢様の箱庭へ行く」

「行ってどうする」

「箱庭に、ジギタリスがあるでしょ? それを使って、名もなき生き物からスヴェートを吐き出させるの」

 ジギタリスには、生の葉を煎じて摂取すると、致死量に達する前に胃を刺激し、飲んだものを吐き出させるという作用がある。
 ペリウィンクルは、それを利用するつもりらしい。
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