愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「わかった。でもせめて、おまえの護衛はさせてくれ。そばにいないと、死にそうになる」

「うん。そばにいて。そうしたらきっと、うまくいく気がするわ」

 ヴィアベルはペリウィンクルを抱き上げると、風の魔法でふわりと舞った。
 行き先はもちろん、ローズマリーの箱庭だ。

 箱庭も、名もなき生き物による被害が甚大だった。
 それでも、ローズマリーの箱庭はまともな方である。
 箱庭に降り立ったペリウィンクルは、真っ先にジギタリスを採取すると、生の葉を煎じた。

「ソレヲ、ノメバイイ?」

 追いかけてきた名もなき生き物が、箱庭をのぞき込んでくる。
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