愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 それからしばらくして、スヴェートと名もなき生き物は、妖精の女王の配下だという武装した妖精の一団に連れて行かれた。
 寄り添う二人は、本当の親子のようだった。

「なんだか悲しい終わり方だったね」

「ああ」

 スヴェートはこれから、罪を償うことになるらしい。
 そして、生み出されてしまった名もなき生き物には、妖精の女王だけが使える特別な魔法、時戻しの魔法(タン・ルヴニール)で種に戻す試みが行われるのだとか。

「我々はもしかしたら、名もなき生き物についてもっと知る必要があるのかもしれん」

「そうしたら……名もなき生き物は消えずに済む?」

「かもな」

 スヴェートにすがる名もなき生き物が、棺にすがる幼い日の自分に重なる。
 つらそうに顔をしかめるペリウィンクルを、ヴィアベルは背中から抱きしめた。
< 307 / 322 >

この作品をシェア

pagetop