愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「みんな、聞いてほしい!」
ソレルの声が、大講堂に響き渡る。
ある者は「あーあ」と天井を仰ぎ、ある者は「うわぁ」と呆れた顔を向け、ある者は気にも留めなかった。
時は七月。卒業シーズンである。
無事に卒業を迎えた新米妖精使いたちは、卒業パーティーのために大講堂へ集っていた。
「私は今日、デュパンセ公爵家のローズマリーと婚約破棄することをここに宣言する!」
会場中にざわめきが起きる。
そこかしこから、「なんて愚かな王子だろう」というささやきが聞こえた。
会場の端で勝手に茶会を始めていた妖精たちも、彼の言葉を馬鹿にするようにクスクス笑う。
当然だ。
ソレルとローズマリーの婚約は春の国の王が決めたこと。
たとえ王子であっても、勝手に婚約破棄などできない。
こんな場所──各国の上流階級が集うような場で宣言をすること自体、反逆罪と思われても仕方のないことである。
ソレルの声が、大講堂に響き渡る。
ある者は「あーあ」と天井を仰ぎ、ある者は「うわぁ」と呆れた顔を向け、ある者は気にも留めなかった。
時は七月。卒業シーズンである。
無事に卒業を迎えた新米妖精使いたちは、卒業パーティーのために大講堂へ集っていた。
「私は今日、デュパンセ公爵家のローズマリーと婚約破棄することをここに宣言する!」
会場中にざわめきが起きる。
そこかしこから、「なんて愚かな王子だろう」というささやきが聞こえた。
会場の端で勝手に茶会を始めていた妖精たちも、彼の言葉を馬鹿にするようにクスクス笑う。
当然だ。
ソレルとローズマリーの婚約は春の国の王が決めたこと。
たとえ王子であっても、勝手に婚約破棄などできない。
こんな場所──各国の上流階級が集うような場で宣言をすること自体、反逆罪と思われても仕方のないことである。