愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「わたしは悪くないもんっ。スヴェートが言ったからやっただけで……! ほっ、本当はやりたくなかったんですよ⁉︎ 媚薬を飲ませるのも、ローズマリー様の箱庭から花を盗むのも……やりたくなんてなかった。だけど、スヴェートがやらないとダメだって言うから、だからわたしは……!」

 ざわり。
 リコリスの言葉に、妖精たちが反応する。
 大講堂にいた全ての妖精たちの目が、爛々と光った。

 植物を愛する妖精にとって、植物を盗むという行為は罪である。
 ましてや、中央の国で人が育てた植物を盗むなど、大罪だ。

 妖精たちが、不穏に動き出す。
 彼らは各々近くにあったナイフやフォークといった武器らしきものを携え、大群となってリコリスを取り囲んだ。

 かわいいのか怖いのか分からない光景だ。
 もっとも、取り囲まれている本人は悲鳴を上げているので、恐怖を感じているようだが。
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