愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「本日は、サンルームでお茶はいかがでしょうか? 庭のバラが見頃を迎えていますの」

「ああ、そうしよう」

 気を取り直すようにローズマリーが提案すると、ソレルは取り繕った笑みを浮かべた。
 ローズマリーもペリウィンクルも、面白くてたまらない。前世で見ていた彼とのギャップが、あまりにも大きすぎる。
 吹き出しそうになるのを耐えながら、ローズマリーはペリウィンクルを伴ってソレルをサンルームへと案内した。

 ソレルの好みは、小動物のようなかわいらしい女の子である。
 ゲームのローズマリーは性格こそアレだが、見た目はソレルの好みだった。
 
 性格の悪さを差し引いても好みだったから、ソレルの婚約者でいられたのだ。
 この容姿だったからこそ、度重なるヒロインへの嫌がらせも「まさか彼女がそんなことをするわけがない」と終盤まで気づかれなかった。

(冷静に考えてみると、残念な王子様ね……)
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