愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 そういうわけで、密猟者と契約者を区別するためにも、学生として招かれた者とその付添人は孤島に隔離される。
 入学時と卒業時だけ渡される船で孤島に降り立ったペリウィンクルは、二人分のトランクを抱えながら、「ほぁぁ」と口を半開きにしつつ、蔦が絡んだ立派な門を見上げた。
 
 本日のペリウィンクルは、クラシカルなメイドの格好をしている。
 ローズマリー付きの庭師兼メイドとして随伴しているためだ。

「ここが妖精使い養成学校、スルスですか」

 スマートフォンの画面越しに見ていた世界が、ペリウィンクルの目の前に広がっている。
 船頭の手を借りて降りてきたローズマリーも、彼女の隣へ並び立ちながら感動したように目を潤ませた。

(丸いほっぺがほんのりピンク色に……! 実に愛らしいです、お嬢様!)

 思わず抱きしめたくなる可愛らしさだ。
 やはりダイエットして良かったと、ペリウィンクルはもう何度目になるか知れないことを考える。
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