愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「きゃっ!」

 大胆な転びように、二人は思わず驚きに身を竦める。

 クセのない白銀色の長い髪が、白いレンガ道の上に散らばった。
 光の角度によって色を変える不思議な色をした髪だ。虹色の髪。何色にも染まる、髪。
 ペリウィンクルもローズマリーも、その髪を持つ少女を嫌というほど知っていた。

 いつだって俯いていて、表情が窺えないようになっている、特徴のない顔。
 だけど髪だけは、強烈な印象を放っている。

 彼女の名前は何だろう。
 分からないが、知っている。
 彼女は間違いなく、この世界のヒロインだった。
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