愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(かわいこぶったって、今は……だ、騙されませんからね!)

 どう考えたって、嫌な予感しかしない。
 それでも、心はすっかり協力することへ傾いているペリウィンクルに、ローズマリーは構うことなく言ってのけた。

「さぁペリ、出番よ。セリ様を泣かせた不届き者を、懲らしめてやりなさい!」

「ああ~~!」
 
 ペリウィンクルの脳裏に、二人のイケメン護衛を連れた高貴な身分の老人の姿が蘇る。
 決め台詞は「──さん、──さん、こらしめてやりなさい」だったか。
 どうせだったらイケメン護衛ではなくてうっかり何ちゃらの役が良かったと、ペリウィンクルは思った。

「出番って……あのねぇ、お嬢様。私がそこまで協力する義理なんてないんですよ? そこのところ、わかってます?」

 ローズマリーのことは、前世社畜仲間で放っておけなかっただけだ。
 彼女のことだけでも手詰まりな気がしているのに、さらになんて──、
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