愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(お嬢様が言うメリットは、確かなものではない)

 胡乱な顔をしているペリウィンクルに、ローズマリーは「それにね」と言った。

「今現在、ゲームのシナリオ通りになっていないことが、わたくしは気になって仕方がないの。シナモンルートにせよ逆ハーレムルートにせよ、セリ様が振られるのはもっとずっと先のはずよ? なのにどうして、こんな序盤で彼女は捨てられなければならないの?」

 それは、ペリウィンクルも思ったことだった。
 だけど、仕方がないではないか、とも思う。

「お嬢様。ここはゲームの世界ですけど、今の私たちにとっては現実の世界なんですよ? なんでもかんでもシナリオ通りにいくわけがない。それが当たり前じゃないですか」

「それでも! やっぱり何かがおかしいわ。わたくしは絶対に、ソレル様に婚約破棄して頂かないといけないの。今世こそ、まったりしたいのよ。だからね、ペリ。わたくしは決めたの。セリ様の恋を応援するって。打倒、リコリス。取り戻せ、シナモン!」

「はぁぁぁぁぁぁ⁈」
< 66 / 322 >

この作品をシェア

pagetop