愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「……おまえは私に裸を見られたら、恥ずかしいと思うか?」

 ヴィアベルの問いに、ペリウィンクルは「もちろん」と答えた。
 そんな彼女の手の中では、次々と針金製の小さな家具が仕上がっていく。
 俯く彼女の耳やうなじの色がうっすらと変化していることに気付いたヴィアベルは、妙に嬉しそうな顔をして「そうか、そうか」と頷いた。

「ところで、妙案というのはシナモンとセリの件か?」

「そうだよ」

 一周回って戻された問題に、ペリウィンクルは憂鬱そうにため息を吐いた。
 顰められた眉間に皺が寄る。

 不意打ちのように伸ばした指先で皺を伸ばしても、ペリウィンクルは嫌がる素振りも見せない。
 いかに自分が彼女に許されているのか確認して、ヴィアベルは小さく笑みを零した。
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