愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
1章

第2話 悪役令嬢との出会い

 この世界の妖精は、あらゆるものから生まれる。
 それはまるで前世で言う付喪神のようだ、とペリウィンクルは思う。

 今、彼女の目の前には、イチゴが乗った真っ白なホイップクリームが浮かんでいる。
 よく見れば、ホイップクリームにはブタの耳と尻尾が生えていて、多肉植物のようなぷっくりとした手足がついていた。

(子ブタの……いや、イチゴのショートケーキの妖精かな)

 ペリウィンクルがチョンとつつくと、妖精は「ぴぎ!」と怒って、くるんとした尻尾を回した。
 妖精の尻尾が、船底に付けられた舵のように動く。そして、ベッドで眠る少女の肩に止まった。

 枕の上に散らばるのは、薄紫色の髪。真っ白な肌はしっとりもちもち、小さな唇はベイビーピンク。
 痩せていればきっと、お人形さんのようにかわいらしい。そう、痩せていれば。
 残念ながら彼女の体はお世辞にもスリムとは言い難い。良くて子ブタちゃん、正直に言えばぽっちゃり、一般男性の厳しい目線から言えばデブである。
< 8 / 322 >

この作品をシェア

pagetop