聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


「なんか、すみません。気を遣わせてしまい…」


美桜が申し訳なさそうにすると、夏樹は支払いをしながら「別に。そのつもりで連れてきたんだから大丈夫。」と言った。


――そのつもりだったの!?


まさかの言葉に、美桜は夏樹の横顔を見つめながら目を大きく見開いた。


「包装しますので、しばらく店内でお待ちくださいね。」


店員にそう言われ、レジから少し離れたところで包装されるのを待った。


「よかった。レースちゃんの気に入るのものがあって。」


「わざわざすみません…」


美桜がまた謝ると、夏樹は美桜の顔を覗き込みながら聞いた。

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