聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


「さっきから謝ってばっかりだけど、もしかしてプレゼントされるの、迷惑?」


夏樹が真顔で尋ねるので、美桜は手をブンブンと振りながら「まさか!めっちゃ嬉しいです!!」と答えた。


夏樹はフッと笑うと「じゃあ、ありがとうございますって言って、素直に受け取っておけばいいんだよ。」と言った。


「お客さま、お待たせしました。」


店員さんはそう言って、夏樹のところへ小さな紙袋を持ってきた。


夏樹は小さくお辞儀をしてそれを受け取ると、美桜の手を取り、そのまま店を出た。


店のドアを閉めて外に出た後、夏樹は美桜の方を向くと「遅くなったけど、誕生日おめでとう。」と言って紙袋を差し出した。

< 103 / 305 >

この作品をシェア

pagetop