聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
――なに!?なんか質攻め??というか、その聖人君子は過去の堀越先輩なのですが…。
「プレゼントは…貰いましたね。」
――嘘は言ってないよね!!
美桜が答えると、夏樹は「じゃあ手は?繋いだ?」と尋ねた。
「手も…まぁ。」
美桜が答えると、夏樹は美桜と繋いでいる手をギュッと握ると「…誰だよ、そいつ。教えるまで離さないからな。」と、美桜にまっすぐ視線を向けて言った。
――これは、誤魔化せそうにないな…。
観念した美桜は、なんとなく夏樹と目を合わせづらく思い、俯いたまま「…昔、近所に住んでたお兄ちゃんです。」と答えた。
夏樹はしばらく黙っていたが、確認するように「それって、もしかして俺のこと?」と言った。
美桜は反射的にコクリと頷いたが、慌てて「む、昔のイメージですよ!優しくて、物腰柔らかで、頭が良いイメージで…。」と言って夏樹を見上げた。