聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
意外にも、夏樹は顔を真っ赤にして美桜を見下ろしていた。つられて、美桜の顔も赤くなる。
「つられてんなよ!」
夏樹が耳まで顔を真っ赤にしたまま、美桜にツッコミを入れた。
「だ、だって先輩が…」
「さっき話した時、俺は理想からかけ離れてるって言ったのに、なんでそうなるんだよ!?」
怒ってるのか照れ隠しなのか分からない口調で夏樹が言うと、美桜は正直に答えた。
「…だって、昔の先輩は教養あって、優しくて、誠実ってイメージだったのに、高校で再会してみたら、人のパンツを見てサラッと感想とか言っちゃうし。それに女の人とやたらデート行ってとっかえひっかえだからチャラい人って噂になってるしで、イメージしてたのと全然違うっていうか…。」
すると夏樹は美桜の言いたいことを概ね理解したらしく「つまり、昔の俺はタイプだったけど、今は違う、と。そういうこと?」とまとめた。
その言葉に美桜はコクリと頷く。