聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
すると夏樹は、はぁと溜め息をついて、美桜から目線を外して言葉を続けた。
「あの頃の俺、色々あって大人しかったしなぁ。そんな自分が嫌だったけど、なんとか頑張ってここまで前向きになれたってのに…。」
そう呟くと、夏樹は美桜の目をまっすぐ見つめて言った。
「俺に色んな噂がたってるのは知ってる。確かに、今まで来るもの拒まずで、彼女はいた。でも俺、部活優先だからすぐフラれて別れてたし、高校に入ってからはまともな恋愛なんてできてないよ。」
「じゃあ、とっかえひっかえって言われてるのは…」
美桜が言うと、夏樹はため息をつきながら「女遊びしてるからじゃなくて、単に長続きしてないだけ。」と白状するように言った。そして言葉を続ける。