聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「私が好きなのは、チャラくなくて誠実な、昔の堀越先輩で…」
ぶつくさ呟く美桜に、芽唯は可哀そうな人を見る表情で「ダメだ、長年の恋を拗らせてる…」と呟いた。
里帆はと言うと、ビシッと指さして美桜に言い放った。
「チャラくない昔の先輩とか言ってるけど、同一人物なんでしょ?昔そうだったんなら、そういう誠実な面も持ってるはずよ。大体、誠実でなければ、女事情とか噂話を弁解したりしないでしょ。好きだから、勘違いして欲しくないから、頑張って誤解を解こうとしたんでしょうが。」
美桜はその言葉を聞いてふと、夏樹に言われたことを思い出した。
『美桜には…人の噂で俺のこと決めつけて欲しくないから。』