聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「堀越先輩、なんて?」
菜々が美桜に話しかける。
「レース終わった後に、話したいことがあるって。」
そう美桜が言うと、菜々が目をキラキラさせて言った。
「そ、それって告白…!?」
菜々が言うと、美桜は慌てて「ま、まさかそんな…」と否定した。
とりあえず二人は、グラウンドが見渡せるベンチの方へ向かった。
ちょうど陰になっているところが空いていたので並んで腰かける。
「矢嶋先輩は、何時からのレースって?」
美桜が尋ねる。
「11時半だって。短距離走だからすぐに終わるらしいけど、14時からも別のレースがあるらしくて。」と言った。
二人は午前中のレースだけ見て、その後はどこかでランチすることにした。
他愛もない話をしながら、二人はレースが始まるのを待った。