聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
11時になる少し前、グラウンドに夏樹の姿が見えた。
「あ、あれかな?堀越先輩。」
美桜が菜々に向かってそう言うと、夏樹もこちらを見つけてくれたようで、手を挙げてくれた。
美桜も夏樹に手を振り返す。
ドキドキした。
手を振り、振り返す。そんな小さなことから、夏樹と繋がっているように思えた。
それが素直に嬉しい。
――やっぱり私、先輩が好き。