聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
6 思いの丈
美桜は、居ても立っても居られなくなり、思わずベンチから立ち上がった。
「ななちん、私やっぱり告白してくる!」
そう言うと、美桜は選手待合室の方へ駆け出していた。
向かっている途中で、ブブッとスマホが、震える。
『応援ありがとうな。今から時計塔のところに来て。』
――あ、時計塔のところ通り過ぎちゃった。
選手待合室の近くまで来た美桜は、そのまま建屋に近づき、キョロキョロと見回して夏樹の姿を探す。
――この辺にいたら、先輩と会えそうだけど…。
「突然何の用ですか?俺急いでるんだけど。」
夏樹の声だ。