聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


――好きな子?もしかして…


美桜の胸は期待で高鳴った。


「そうなんだ…。わかった。」


女子の声は今にも泣きそうだ。


夏樹が立ち去ろうとする足音が聞こえる。


――私も時計塔に…


そう思って立ち上がろうとした時、女子の声がまた聞こえた。


「堀越君が好きなその子って、どんな子なの?」


夏樹の足音が止まった。そして。


「昔からずっと好きだった子。」


そう言うと、夏樹は立ち去った。


美桜はその場から動けない。

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