聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
――今なんと?
美桜が混乱して黙って抱きしめられていると、夏樹は美桜を更にギュッと抱きしめた。
「好きだ。小学生ん頃から、ずっと忘れられなかった。」
「ウソ…。だって先輩、私が大好きって言ってもいっつも『ありがとう』って言うだけで、好きだなんて一言も…」
「年頃なんだから、そんな簡単に『俺も〜』とか、言えるわけないじゃん。」
小6だぜ?と夏樹は言って、抱きしめていた腕を緩めると、美桜を見下ろしながら言った。
「それに俺、その頃色々あって、自分のことで精一杯だったし。でも美桜の存在に救われてたんだ。」
そう言うと、夏樹は美桜に、ふんわりと優しく笑いかけた。