聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
7 君を思う、この気持ちは… −菜々side
青い空。
空には綿雲。
校庭に響く生徒たちの掛け声。
そんな中、グラウンドをぼうっと眺めながら、橋本菜々はグラウンドに面した手洗い場に立っていた。
手元のバケツの中には、サッカー部のビブスが詰め込まれている。
たっぷり泡立った洗剤の中にいるビブス達は、すっかり綺麗になっているはずなのに、菜々は未だに手を動かしながらサッカー部のメンバーを眺めている。
ーー相良君、かっこいいなあ。
先輩だからと遠慮せずに堂々とボールを奪いに行く相良亮。
汗で所々束になった髪、光る汗。
シャツの袖で、汗を拭う仕草。
細すぎない腕と脚。真剣な表情。
どれも、菜々の目にはキラキラと眩しく映った。