聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


しばらくして、菜々の指が治ったころ。


「橋本。サッカーボールを当ててケガさせといて、こんなこと言うのもなんだけど…」


ある日の放課後、たまたま教室に残っていた菜々を見つけ、相良が話しかけてきた。


真剣な眼差しで菜々をみつめている。


ーーえ、なんか告白みたいな雰囲気?


「…な、なに?」


菜々がドキドキしながら尋ねると、相良が意を決したように菜々の目を見つめながら言った。


「お、俺の…」


「い、いいよ!!」


話を最後まで聞く前に、つい返事が口に出てしまった。
相良は、ぱあっと顔を輝かせて菜々に一歩近づく。そして。

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