聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


相良が出したパスが相手チームの間をすり抜け、ゴール前にいる先輩の方に飛び込んでいった時は、菜々も思わず息をのんだ。


そしてそのままシュートが決まると、菜々は「やった!」と喜びの声を上げ、マネージャーの神崎愛加と一緒に、手を叩いて喜びを分かち合った。


――こんな試合を、毎回観れるなんて、楽しい!


手伝いとはいえ、マネージャーの仕事は確かに大変だった。


でもそれ以上に、試合で闘うメンバー達の役に立ちたいという思いの方が勝った。


そして今まさに、サッカー部マネージャーの仕事として、ビブスを洗っているところなのである。


ついでに職権乱用とばかりに、自分がマネージャーを務める部のメンバー(主に相良)を、堂々と眺めている、というワケだ。

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