聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「ほら、もうすぐ夏休みでしょ?で、先輩達みんなインターハイ終わったら受験勉強が本格的になるから、そうなる前にみんなで遊びに行こうって話!」
「みんなでって、誰?」
「堀越先輩とー、矢嶋先輩とー、ななちんと私!」
「え、4人!?付き合いたてだから、せっかくなら堀越先輩と2人で行ったらいいのに。」
「いいのいいの!みんなで行った方が楽しいじゃん!?それにほら、マックで4人で話した時もさ、みんなで遊びに行こうって約束したし。まずはプールに行こうよ!アクアパークのビッグスライダー、滑ってみたいんだよねー!」
ホームに続く階段を登りながら話す美桜の目は、スライダー乗った時のワクワクを想像してキラキラと光っている。
美桜があまりにもウキウキしながら話すので、菜々は「じゃあ、4人で行こっか」と返事をした。
「やったー!」と菜々の横で喜ぶ美桜。
――矢嶋先輩と夏休みも会えるのかぁ。
いつも優しく接してくれる矢嶋のことを思い出してほっこりした気分になりながら、菜々も遊びに行くのが待ち遠しくなっていた。