聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「いえ、彼氏と来てまーす!」
美桜がはっきり言って断ろうとするが、男達はへぇ、といった顔で信じていない様子だ。
「でも今いないじゃん?誤魔化さないで、せっかくだから一緒に遊ぼーぜ。」
そう言うと、男達が菜々達の方へ更に一歩踏み込んできた。
その時。
「彼氏いるって言ってんのが聞こえませんでした?」
明らかな怒りを感じる声を聞いて、ナンパ男2人が振り向く。
その目線の先には、冷ややかな態度で、ナンパ男を睨みつける、夏樹の姿があった。
茶髪に金メッシュのチャラい見た目も相まって、なかなかの凄みを感じる。
その横では、矢嶋も静かな怒りを湛えた視線で、男達を見ていた。
「…んだよ、マジでいたんか。」
「行こーぜ。」
2人は面倒事は避けたいようで、呆気なく身を引いた。